Androidは画面が割れるとタッチができない?
本日も沢山のご依頼誠にありがとうございます。
と、いつもの修理ブログのような書き出しで始めてみましたが、
このブログでは、少し趣向を変えたものをお届けしたいと思います。
毎日使っているものだけど、その内部構造は一体どうなっているのだろう?
故障した時、「タッチ切れ」や「USB不良」と症状を指して言っているが、具体的にはどのようにその不具合が起こっているのか?
スマホの中身、故障の原因、修理の内容……
普段見えないものを、本物の端末の写真でお見せする。
そんなブログが、この見せまっくすです。
では早速、第一回のテーマは……
「Androidは、画面が割れるとタッチ操作できないの?」です。
少しスマホに詳しい方でしたら、iPhoneは画面がヒビ割れてもタッチ操作に支障が出ないのはご存知でしょう。
割れたままのiPhoneを使い続けている人を見かけたこともあるのでは?
一方、画面割れで持ち込まれるAndroid端末には、全くタッチの利かないものが多数。
中には、一本ヒビが入っただけなのに……という方も。
「落下に伴う重大な不具合か!?」
と、かなり焦った様子でお問合せされるお客様もいらっしゃいます。
大丈夫です、とてもよくある症状です。
ほとんどの場合はハードウェアの問題……ディスプレイの割れが原因のタッチ不良ですから、部品交換で元通りになりますよ。
そして修理完了後、こんな言葉が聞かれます。
「Androidは割れると操作できなくなるから、
次の機種変ではiPhoneにしようかな。」
なるほど。
でもこれ、正確ではありません。
なぜなら、この言葉を出すお客様のお手元にある端末……
高確率で、Xperiaです。
なぜiPhoneではタッチできるのに、Xperiaではできなくなるのか?
……これはXperiaシリーズ、特にZシリーズに採用されているタッチパネルの構造によるものなんです。
では早速、写真つきでご覧ください。
当店在庫のXperia Z3のディスプレイです。
上からの光の当たっているところを中心に、点でできた列が見えますね。
これは、タッチを感知するセンサーです。
碁盤の目状にディスプレイ面を区切っており、ここのどこに指が触れたか・どう動いたかを感知して、端末に反映させるのです。
画面が割れるとタッチできなくなる理由は、ここなんです。
このセンサー、表面のガラスと一体化しています。
そこに衝撃が加わってヒビが入ると……
ガラスが割れるだけでなく、タッチセンサーも破損してしまう。
そしてタッチ操作不能に、というわけです。
Z3は割れるとタッチできなくなることがわかりました。
じゃあほかの機種はどうなの?
ということで……
並べました。
上段左:iPhone 5S
上段右:Xperia Z5
下段左:Zenfone 3 5.2inch
下段右:Xperia XZ
の、ディスプレイです。
これも一枚一枚、光を当てて見ていきましょう。
iPhone 5Sをアップにしてみました。
こちらにはXperia Z3にあったセンサーは見えません。
Xperia Z5です。おっ、見えますね、碁盤目センサー。
Zenfone3(5.2inch)です。これは見えません。ツルッと黒一色です。
Xperia XZです。おや? 見えません。
さて、センサーが表面から見える端末と見えない端末とに分かれました
もうおわかりかと思いますが、
センサーが見える端末は割れるとタッチが利かなくなるものです。
「Zenfone3のOSはAndroidだけど、割れてもタッチは利くの?」
はい!利きます。
SIMフリー機一番人気とのウワサもあるZenfoneシリーズ、
その最新機種であるZenfone3。
国内販売開始直後から、お問合せ・お持ち込みは多数ありました。
画面割れでも頻繁にご依頼頂いてますが、ほとんどの端末で、タッチ操作は可能です。
「Xperia XZは、Xperiaだけど……これはどんな感じ?」
これはですね……、ちゃんと利きます!
X performance以降のXperiaでは、割れた画面でもタッチが利くのを確認しています。
Xシリーズに入って、弱点を克服したんですね!
やったー!
あと、この碁盤目のようなタッチセンサー、
肉眼だと写真とは比べものにならないほど見えやすいので、
該当端末をお持ちの方は、試しに顔を近づけてみてください。
「これで、割れても操作できるかどうか、見た目で完全に判別できますね!」
いや、これが……そうとも限らないのです。
例えば、有機EL採用端末。
Samsung GALAXYシリーズや、富士通 M02などは、表面のガラスは割れにくいんですが、内部の有機ELだけにヒビが入る時があります。
すると、なんと画面全体が真っ暗に。
これではタッチが利いているのか利いてないのかすらわかりません……
なにしろ何も見えませんから。
うーん。
結局のところ、一台一台の故障例を見て、傾向を掴むしかなさそうです。
ちなみに、Z5以前のXperiaシリーズでも、ヒビ割れによるタッチ不良が起こらない場合があります。
それは……上端に近い部分が割れたとき。
なんと、ヒビから下は通常通りタッチに反応することが多いんです。
なぜでしょうか?
実はこれにも、目で見てわかる理由がありました。
もう一度、Xperia Z3のディスプレイです。
下側から、何やらペロンと出ていますね。
これ、ディスプレイと基板とを接続するためのコネクタです。
ここを通して、基板から映像信号がディスプレイへ送られ、タッチセンサーからどこにタッチされているかの信号が基板へ送られます。
基板との信号のやりとりは、下部のコネクタでなされる。
ヒビが入ると、その部分で信号が遮断される。
つまり、ヒビより下、コネクタとタッチセンサーが繋がっている範囲内では、タッチが利くのです。
上端のヒビなら、大した被害にはなりませんが……
下部にヒビが入ってしまうと、タッチの利かない範囲が広く、マトモに使えなくなります。
これくらいの範囲でタッチ不能になると、ロックが解除できません……。
……このあたりで今回のテーマ、
「Androidは、画面が割れるとタッチ操作できないの?」
への回答をさせて頂きます。
「機種と、割れ方による!」
……あんまりスパッとした回答になりませんでした。
ただ、割れていてもタッチ操作可能なandroid端末は確実に増えてきています。
上に挙げたZenfoneシリーズやXperia Xシリーズのほか、GALAXYもS7edgeあたりから、割れても表示・タッチ共に正常に動く ことが多いです(動かないこともあります)。
ついうっかりスマホを落としてしまいがちな方や、スマホ裸族の方には、端末選びの幅が広がりつつあると言えるでしょうね。
こんな具合に、一歩か二歩ほど踏み込んだスマホについての情報を発信してゆく予定です。
記事編集担当
蒲倉