SIMスロット破損(原因&修理編)
こんばんは。スマートまっくす原宿竹下通り店 蒲倉でございます。
今回の見せまっくすは、前回からの続き、SIMスロットの破損について。
前回の記事で最後に触れた点について、軽くおさらいをしましょう。
・SIMカードスロットの中に生えているツメは、引っかかりに弱い。
・通常なら引っかかる部分がないはずのSIMカードに、ある条件で
“落とし穴”が出現する。
その“落とし穴”が何者なのか?
そこから、今回の記事は始まります。
SIMカードアダプタ。
スマホの周辺機器売り場に行けば、簡単にお安く手に入る、こいつが曲者なのです。
スマホが対応しているサイズより小さなSIMカードでも、問題なく使えるようにしてくれる。
複数台使用の強い味方、それがSIMカードアダプタ。
アダプタがあれば、micro対応スマホも標準SIM対応ガラケーも、
nanoSIM一枚で使いまわせます。
とても便利!
ですが、ちょっとお待ちを。
よく見てください。
ここを!
SIMカードとアダプタとの間に小さなスキ間が…
写真ではハッキリ見えませんが、SIMアダプタとSIMカードの表面には、
微妙な高低差もあります。
どちらも、とても小さな、微々たるものではありますが、
思い出してください。
このSIMカードを読み取るためのツメも、かなり細くて小さいものだということを。
この、人間の目からするとあまりに小さなスキ間と高低差が、どのようにSIMスロットを破損してしまうのでしょう?
これを理解するため、SIMスロットの内部構造を、簡略図で表してみました。
SIMカードが挿入されている時のSIMスロット内部です。
バネのように弾性のあるツメが、SIMカードに押し潰されて平べったくなりつつ、ICの情報を読み取るという仕組みです。
そしてSIMカードを抜き取ると、ツメは弾性で元の形状に復元します。
では、アダプタを装着したSIMカードの場合はどうでしょう?
溝と、微妙な高低差ができています。
挿入時や、中に入れて使用しているときには、これが悪さをすることはありません。
問題は、SIMカード+アダプタを抜き取る時。
あっ
……ハマってしまいました。
「何かが引っかかった感じがして、スムーズに抜けない」状態です。
今ならまだ、落ち着いて対処すれば事なきをえるかもしれませんが、
力まかせに引っこ抜いてしまうと……
ああーっ。
グシャッと折れ曲がり、さらに引っ張ったところでポッキリ折れてしまいました。
ようやく引っ張り出したSIMカード、しかし一緒に小さな金属片が出てきて、異変に気付く。
というのが、よくある破損の流れです。
折れるところまでいかなくても、曲がってしまった段階で、SIMスロットとしての機能はダメになっています。
また、薄い板状の金属ですから、一度折れ曲がると矯正もできません。
SIMアダプタを使う際には、決してやってはいけないことがあります。
それをやってしまったが最後、ほぼ100%の確率で、SIMスロットをダメにしてしまいます。
それは……
SIMカードを装着していない、空のアダプタをスマホに入れてしまうこと。
なぜか?
これも図にして見てみましょう。
空アダプタが入っている時のSIMスロット内部です。
すでにちょっと不穏な空気が漂っています。
本来、SIMスロット内部にSIMカードが入っている時は、SIMカードに圧迫されたツメは平べったくなっているはずなのですが、空アダプタだとご覧の通り、スペースがあるので、のびのびしています。
では空アダプタを取り出してみましょう。
アア……
避けがたい事態
そして当然、こうなります。
道具と工夫があれば、ツメを傷つけずに取り出せる可能性も出てきます。
が、そこで油断して再度空アダプタを入れると、またもや引っかかります。
「アダプタが小さくて失くしちゃいそうだから、
使わない間はスマホの中に入れておこう」
コレが危ないんです!
しかし、空アダプタを入れないようにしていたとしても、スマホの中でSIMカードがアダプタから脱落し、結果として空アダプタを挿入したのと同じ状態になってしまうことがあります。
SIMアダプタは確かに便利ですが、こういったリスクがあることはきちんと理解したうえで使っていきたいものです。
それでは、SIMスロット交換修理の手順をご紹介いたします。
今回のモデル端末はこれ、SONY Xperia Z Ultra です。
位置関係はこんなかんじです。
SIMスロットを取り外します。
基板とSIMスロットとを繋いでいるハンダを丁寧に取り除きながら進めます。
無理に引っ張ったり、雑に高熱をかけると、基板の破損・不具合の原因になります。
慎重な作業です。
SIMスロットを取り外したものがこちら。
新品のSIMスロットを用意します。
IMスロット跡地に点々とある銀色は、全てハンダです。
正確には、のりしろとなる「ランド」の上に、
ハンダが乗っているところです。
新品のSIMスロットには、これに対応する位置に電気を通すための足がついています。
このポイントでSIMスロットと基板とをハンダづけして、
動作確認! 修理完了!
SIMスロットを壊さないためには、
アダプタを使わない=端末に対応したSIMカードを使う
のが一番なのですが、
そんなこと言ってられるか!という方も、
たくさんいらっしゃることでしょう。
そんな方ができる対策としては、
・ある程度ちゃんとした造りのSIMアダプタを選ぶ
(安すぎるものは造りが甘くスキ間ができやすい)
・アダプタ内部に薄い両面テープを貼りつけて、
段差の発生とSIMカードの脱落を防ぐ
そして一番大事なのが、引っかかったときに焦らない。
引っかかった段階では、まだSIMスロットのツメは折れていません。
そこから無理に引っ張ったところで初めて破損します。
あっ、となったら、まずは深呼吸しましょう。
まだ打つ手はあります。
スマートまっくすでは、抜けなくなったSIMカードを取り出す作業も修理コースとしてご用意しております。
SIMスロットが壊れてからの修理よりも端末への負担が小さく、また費用も抑えられますので、状況を悪化させる前に一度ご相談頂くのがおすすめです。
というところで、今回の記事はここまで。
お読み頂いてありがとうございました!
記事編集担当
蒲倉